2020年 ベトナム税務関連法規の改正
営業許可税(事業登録税)の改正
2020年2月24日付で、ベトナム政府は営業許可税(事業登録税)について政令22/2020/ND-CP(2月25日より有効)を発行しました。また7月9日付で、財務省が政令22/2020/ND-CPのガイドラインとして、通達65/2020/TT-BTC(8月23日より有効)を発行しました。
新規設立で、新しい税コードや企業コードが発行された企業およびビジネスや生産を新規に始めた個人や世帯は、初年度の営業許可税を免除されます。ここでの年度は、暦年(1月1日から12月31日)を指します。
例えば、2020年12月に設立された企業は、2020年の営業許可税は免除されますが、2021年は営業許可税を申告納税する必要があります。
個人のビジネスを中小企業に変更すると、最初に企業登録証明書を取得してから3年間、営業許可税が免除されます。
上記の免除期間中に、支店、駐在事務所、事業所を新規に設立した場合、これらの支店、駐在事務所、事業所についても、企業と同じ期間、営業許可税が免除されます。
公的義務教育機関や公的幼児教育機関も免除の対象となります。
また、諸条件がありますが、企業やビジネスが一時的に休業する場合も、営業許可税が免除されます。
個人所得税基礎控除および扶養控除の増額
2020年6月2日付で、ベトナム政府は個人所得税の控除額について議決954/2020/UBTVQH14を発行しました。この議決は、7月1日より有効となり、2020年度の個人所得税から適用されます。
◇基礎控除 900万ドン/月から1100万ドン/月になります。
◇扶養控除 被扶養者1名につき360万ドン/月から440万ドン/月になります。
税務申告についての法改正
2019年6月13日付で、政府は改正税務管理法38/2019/QH14を発行しました。
2020年7月1日から有効となります。
(例外として、電子インボイス、電子証憑に関する規定は2022年7月1日から有効と規定されましたが、9月30日付の通達68/2019/TT-BTCには、電子インボイス義務化の開始期間は2020年11月1日と書かれています。)
1)税務申告期限
月次申告の期限に変更はありませんが(翌月20日)、四半期申告は翌月30日から翌月の末日に、年次申告の場合は、年度末から30日後から、年度末の翌月の末日に、年度末の確定申告は、決算日から90日後でしたが、決算日から3か月後の最終日と期限が変更になります。
個人所得税の確定申告期限は、12月31日(暦年1月から12月の申告の場合)から90日後でしたが、4月末に変更となりました。
2)外国との電子商取引に対する課税
電子商取引により、ベトナム国内の企業や個人に対して商品、サービスを提供する外国企業や個人に対しての課税について規定されました。
財務省、商工省、情報通信省、中央銀行が協力し、電子商取引を行う企業や個人の情報を集め、電子商取引決済システムを開発、国境を越えた電子商取引に対する管理、監視を強化するとともに、商業銀行は、電子商取引によりベトナムで収入を得る外国企業や個人に対し、税法に従い税金を控除し、納税を行うことになりました。
3)納税者の権利
新たに下記の権利が追加されました。
◇還付申請のスケジュールや、還付不可の金額、その法的根拠などを知ることができる。
◇税務について税務当局の指導や決定に従った場合、税法上の罰則規定は適用されず、延滞金は発生しない。
◇税務当局のポータルサイトに送付したすべての情報にアクセス、印刷することができる。
支払利息の損金算入上限額の引き上げ
ベトナム政府は2020年6月24日付で、移転価格税制についての政令20/2017/ND-CPの第8条3項を修正、補足する政令68/2020/ND-CP を発行しました。また、この政令のガイダンスとして、税務総局が2020年7月14日付オフィシャルレター 2835/TCT-TTKT を発行しました。
20/2017/ND-CPでは、支払利息の損金算入は、税引前の事業活動による利益に、支払利息、減価償却費を加えたEBITDAの20%が上限でしたが、68/2020/ND-CPでは、損金算入できる支払利息は、支払利息から受取利息を差し引いた金額となり、税引前の事業活動による利益に、支払利息(受取利息を差し引く)および減価償却を加えたEBITDAの30%が上限となりました。
支払利息で損金算入されなかった部分は、5年間繰り越すことが可能です。
金融機関や保険会社、ODA、政府からの融資などには適用されません。
68/2020/ND-CPは、6月24日より有効となり、2019年法人税から適用されます。
すでに2019年法人税確定申告済みの場合、68/2020/ND-CPに従い、追加で申告を行います。確定申告をまだ行っていない場合は、最初から68/2020/ND-CPに従い申告を行います。
2017、2018年法人税にも適用可能ですが、追加書類を作成し、2021年1月1日までに、税務局へ提出する必要があります。2017、2018年分は、支払利息の損金不算入部分の繰越はありません。68/2020/ND-CP第1条C(適用除外について)も適用されません。