VACサイゴン税理士法人

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ベトナム税務・会計レポート

外国契約者税(FCT)は、外国法人もしくは個人(外国契約者)が、契約に基づきベトナムの組織や個人にサービス(役務)を提供した場合、ベトナムに恒久的施設(PE)があるないに関わらず、その対価に課せられる税金です。付加価値税(VAT)と法人所得税(CIT)もしくは個人所得税(PIT)で構成されます。

課税対象となる取引

*サービス一般
*組立や据え付け、トレーニングなどのサービスが含まれる商品販売
*物品の引き渡しをベトナム国内で行う商品販売
*ベトナム国内でのみなし輸出入取引(On the Spot Import/Export)
*建設、据え付け
*製造、輸送
*利息
*ロイヤルティー

課税対象とならない取引

*サービスが付随しない商品販売
*ベトナムの国外で提供され、ベトナム国外で消費されるサービス *ベトナム組織や個人に対し、ベトナム国外で提供される下記のサービス
  - 交通手段(航空機や船舶)、機械設備などの修理
  - 広告・マーケティング(オンライン広告やオンラインマーケティングを除く) 
  - 貿易振興・投資促進サービス
  - トレーニング(オンライントレーニングを除く)
  - 国際通信や国際郵便サービス

計算方法

FCTは控除法(VAS法)、ハイブリッド法、みなし法(源泉徴収法、直接法)の3つの計算方法があります。

1)控除法(VAS法)
外国契約者がベトナム会計基準により会計帳簿を作成し、ベトナム法人と同様にCIT、VATを計算し、自ら税務申告納税する方法。

2)ハイブリッド法
外国契約者がCITはみなし法、VATは控除法を用いて、自ら税務申告納税する方法。
建設プロジェクトなどで、よく使用されます。

3)みなし法(源泉徴収法、直接法)
契約金額に、みなし税率をかけCIT、VATを計算する方法。
申告納税は、ベトナム組織や個人が行います。
ベトナムに恒久的施設(PE)がなく、外国契約者としての契約が183日未満の場合は、みなし法となります。

多くの場合、みなし法が採用されています。

みなし税率

みなし法で使われるみなし税率は、サービスの内容によってかわります。

取引内容 VAT CIT
サービス一般 5% 5%
サービスが含まれる商品販売 1%
物品の引き渡しをベトナム国内で行う商品販売 1%
ベトナム国内でのみなし輸出入取引 1%
建設、据え付け(資材の供給あり) 3% 2%
建設、据え付け(資材の供給なし) 5% 2%
製造、輸送 3% 2%
利息 5%
ロイヤルティー 10%

(注)契約に複数のサービスが含まれる場合、サービスごとに金額を分けないと、契約金額全体に一番高い税率が適用されます。

みなし法での申告納税

サービス提供を受けたベトナム組織が、初めて外国契約者税を申告する際は、まず、外国契約者税申告のための税コードを取得する必要があります。

その後、サービス代金支払日から10日以内に、ベトナム組織が申告・納税します。

外国契約者との契約が多数あり、毎月外国契約者税が発生する場合など、税務局へ申請を行い、月次申告に変更することも可能です。

契約終了時は、契約終了後45日以内に確定申告を行うと規定されていますが、確定申告が必要かどうかは、地域によって解釈が分かれています。

契約時の注意事項

1)FCTはベトナム組織、外国契約者のどちらが負担するか
FCTは、外国契約者が負担することが一般的ですが、ベトナム組織が負担することもできます。FCTをどちらが負担するか契約書に記載が必要です。
VAT分はベトナム組織負担、CIT分は外国契約者負担というような分担も可能です。ベトナム組織がVATを負担した場合、仕入VATとしてVAT申告で控除できます。
FCTを考慮せずに契約金額を決めた後で、FCTが課税されることが判明し、どちらがFCTを負担するかでもめることも多いため、ベトナム組織と外国企業との契約の際は、契約締結前にお早めに専門家に相談することをお勧めします。
2)サービスごとに金額を分ける
契約に複数のサービスが含まれる場合、サービスごとに金額を分けて契約書に記載しないと、契約金額全体に一番高い税率が適用されてしまいます。必ず、サービスごとに金額を分けるようにしましょう。
3)契約金額にFCTが含まれるかどうか
契約金額を税込み(FCT額は契約金額に含まれる)としてFCTを計算していても、契約書に税込みと明記していないと、税務局に契約金額が税抜き(FCT額は契約金額に含まれない)であるとみなされ、FCTを追徴される可能性があります。
契約金額は、FCTが含まれた金額か、FCTが含まれていない金額か、契約書に明記することが大切です。