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VACサイゴンスタッフコラム

2020/08/31 VACサイゴンスタッフコラム

ベトナムのお盆と鬼月

筆者:Nhieu Quynh Kim Hao

“Le Vu Lan”と“Cung Co Hon”はベトナムで旧暦7月に行われる大きいお祭りです。
ベトナム人の信仰では、“ブーラン祭”や“ブーランボン”は仏教の大切なお祭りで、子孫に両親、祖父母、先祖の供養及び国民的英雄の貢献について思い出させます。漢字で「盂蘭盆」と書きます。
“Cung Co Hon”という「幽霊の月」または「鬼月」は仏教行事の1つであり、ベトナムに限らず広く行われています。
仏教では、以上の二つのお祭りを通して、「慈、悲、喜、捨」、「無我」、「雅量」などの思想教育を促します。

ブーラン祭

ブーラン祭はムク・キエウ・リーエン菩薩の親孝行の伝説から来ました。
ムク・キエウ・リーエン菩薩のご母堂は死前に邪悪な行動をしたり、僧侶に対して侮辱したりしましたので、死後に地獄に送られて、「鬼」になりました。ご母堂の苦痛を憂えましたが、助けませんでした。ムク・キエウ・リーエン様は十方の僧侶にお供えをしたり、お経を読み上げてもらえば、ご母堂を助けることが出来ると仏様に教えてもらいました。仏様の教の通り供養をしたところ、ご母堂だけではなく、他の鬼も助けることが出来ました。
この伝説から、孝行するため、仏者はブーラン祭でお寺の僧侶と先祖や霊のためのお祈りやレイクエム、放生、祈願などの色々な儀式をを行います。
旧暦7月15日にお寺で両親が亡くなった仏者は左胸に白バラを付け、父親が亡くなった仏者はピンクのバラをつけ、両親がいる仏者は赤いバラを付けます。

Cung Co Hon祭 - 幽霊の月

Cung Co Hon祭という霊前に供える一番大きいお祭りはブーラン祭と同じで旧暦7月15日に行われます。そのため、幽霊の月がブーラン祭から始まると考る人もいます。
伝統的な信仰によると、人間は「身体の部分」と「魂の部分」の二つの部分から構成されています。死後に魂は肉体から離れて存在できます。亡き人の魂の行先は生前の行いによって決まり、天国に行く、生まれ変わって新しい人生を歩む、あるいは地獄へ落ちる、またはあの世をさ迷うことになります。

ベトナム文化は中国の影響を受けており、“Cung Co Hon祭”という[幽霊の月]もその一つですが、道教(中国三大宗教の一つ:儒教、仏教、道教)におけるお釈迦様に起源があります。中国人は旧暦7月2日~14日までは地獄の王である 閻魔大王(えんまだいおう)が鬼門を開き、先祖の霊(鬼)がこの世に戻ってきてから、その後、鬼門が旧暦7月14日の深夜に閉まると信じています。
ただし、ベトナム人は旧暦7月15日に幽霊が現世の人々から服や食べ物やお金などをもらいに戻ってくるため、鬼門が開くと信じています。敬虔な仏教徒だと、この1か月間、菜食を通す人もいます。
また、幽霊の月の間、結婚式や、自宅の買いやお店の新規開店などお祝いごとは避ける傾向が強いです。不運を避けるために、色々な人はお粥や塩などを供えます。

供え物

ブーラン祭では、家や家具、バイク、その他生活用品を紙で作り、ご先祖様への供養として作成した紙を燃やします。お供え物は菜食かバン・チュン、チャー、おこわなどのベトナム人の伝統的な食べ物です。
旧暦7月になると、各家庭では飢鬼を助け、現世で悪さをしないように「鬼」へのお供え物として、お粥やお香、ロウソク、豆腐、落花生、お菓子や菜食などを用意します。この供養は夕方に家の外で行ったほうがいいです。供養を終えたら、お金を配る人もいて、お札をばら撒く人もいます。そのため、毎年7月になると、お札を撒く家を探して、子供や若者が集まり、街中は非常に混雑します。時には供養の前に供え物を盗られてしまう家もあり、彼らを「生きた鬼」と呼んでいます。